教育制度と子供の勉強意欲の関係性
イギリスでは毎年5月にYear2・Year6の生徒を対象にSATSという統一テストが実施される。日本人のママ友からこの話は聞いていたが、学校ごとに成績が公表されるので、息子が通う学校も、SATSの対象学年のクラスにはいい先生がつくという噂だ。確かにYear2の息子の担任の先生もベテランで周りからも評判の先生だ。
他の学年のことは知らないが、Year1のときは音読くらいしか宿題は出ていなかったのに、Year2になってからは音読に加えて、読解力や文法に関するプリントや問題集、また算数の宿題が毎日コンスタントに出ている。これは学校のSATS対策なのだろうか。
今日、フランス人のママ友に「春休みはフランスに帰るの?」と尋ねると、意外な答えが返ってきた。帰る予定はしているけれど、同じくSATS対象学年のYear6の娘さんの試験が迫っているので、一時帰国を迷っているとのこと。まだ4か月もあるのに勉強に励んでいて、第二言語として英語を学んでいるので苦戦しながら取り組んでいるのだそう。そしてすごくセンシティブになっているとのことだった。
え、なんで…
と衝撃を受けた。確か、そのお子さんは地元の公立のセカンダリースクールに通うので受験はしないはず。何か月も前から対策しないといけないほど、そんなにSATSって大事なん??といった感想を抱いた。
そのママ友によるとフランスにも大学受験の際に日本の大学センター試験(今は「共通テスト」と言うんですっけ?)に該当するテストがあるようなのだが、それくらいSATSは重要なテストなんだと言っていた。
ほんま?!
私のリスニング力がそこまで高くはないので、間違っているのかな、と思ったけれど「とにかく重要なテストだ」と何度も話していた。
確かに学校にとっては大切な試験だという認識はあった。けれど、生徒個人に対してもそこまで重要なテストなんだろうか?謎。
ただ、一つ気になったのは、フランスの教育は厳しくて、彼女の子供達が通っていた学校では点数の良し悪しで先生の対応が変わるということ、またテストの順位を貼り出されること、そして点数の悪い子供は先生に叱られることもあり、点数の良い子供は褒められて伸びていくけれど、点数が悪いと、どんどん自己肯定感も下がってしまい負のスパイラルに落ちていくと彼女が話していたことを思い出した。そのため、常に彼女のお子さんはテストに対して神経質になっていてテストが子供にとって精神的な負担になっていると話していた。
もしかしたら試験一つにしても国によって捉え方が違うのかなぁと思うと興味深い。日本人もまじめなので試験勉強はがんばってする人が多いんだろうし、私も定期試験はそれなりにまじめに取り組んだけど、それでもセンシティブになるほどではなかった。あくまでサンプル数1なので何とも言えないけど、彼女のお子さんがそこまで必死に試験対策をしているのは、フランスの教育の中で、好奇心とか達成感とかそういった内発的動機というより、賞罰などといった外発的動機によって勉強に一生懸命取り組んでいると言うことなんだろうか。もしそうであれば、とっても強烈だったのだろうと思う。
国が違うと制度も違う。制度が違うと物の見方や捉え方も変わってくる。
各国の教育制度と子供の勉強への取り組み方の関係性は是非これからも追いかけてみたいところ。