転勤帯同をキャリアのブランクとみるかどうか
今日は、子育てに専念している期間はブランクなのかどうかについてモヤモヤしていたことを書こうと思う。
現在私は夫の駐在に帯同しており、現地で仕事に就いてはいない。
二児の子育てに専念中だ。
そもそも私は第一子出産前に、実家の仕事を継ぐために会社を退職しており
当初、産後1年程度で仕事を再開させるつもりだった。
しかし、子供が生まれてまもなく本社がある関西から長年動かなかった夫が転勤することになった。
この6年間で東京→広島→東京→ロンドン。
第二子出産前後は、2年間の単身赴任も経験した。
私が描いていた30代のキャリアはものの見事に崩れてしまった。
第一子出産直後は、自分自身が"お母さん"でしかないことをポジティブに受け入れることができず、しばらくモヤモヤする時期を過ごした。
名前ではなく「○○くんのお母さん」とどこへ行っても呼ばれる。
子育てに慣れず、時間もうまく使えない。
喪失感しかなかった。
実家の仕事ができる状況だったら、
社会との繋がりや、自分の存在意義をもう少し強く持てたのになと状況を恨んだ。
しかし、そんなことを言っても環境は変わらない。
心機一転、「このモヤモヤを何かにぶつけたい!同じように感じている女性もいるはず」と、子育て中の女性向けに仕事や家族の価値観を棚卸しするワークショップを自治体を巻き込む形で企画。
参加者からは「こんな場があってよかった」との言葉をもらい、一緒に活動する12名の仲間もできた。
またメディアに取り上げてもらい、全国から応援の声をいただいた。
仕事という形をとらずとも、自分の行動により、今まで会ったこともなかった誰かを励ませたり、役に立てることがあることを実感できた。
このような経験に加えて、帯同先の様々な出会いで自分の世界が広がっていることを実感できているので、夫の転勤も肯定的に捉えてはいる。
しかしもちろん良いことばかりではない。
転勤が短いスパンでたびたび続くと、
自分の生活を構成する多くのインフラがそのたびにリセットされる。
毎回情報収集には労力をさく。
そして新しい土地で、お互いの価値観を共有できるくらい信頼できる友達が毎回すぐにつくれるわけでもない。
社会活動を継続させたいと思っても、短期間で仕組みをつくり、その土地に根を下ろして継続させることはなかなか難しい。
しかし、何とか自分が築いた"資産"を住む場所が変わっても育みたいと、オンラインツールを活用して日本の仲間との活動を継続させている。
先日、仲間との勉強会があった。
そこで友人から橘玲さんの『幸福の資本論』で述べられている考え方を紹介された。
幸せを支える3つの資本・資産を
①人的資本…やりがい、生きがい
②金融資産…財政基盤
③社会資本…愛・友情・つながり
であると定義し、そのなかで2つ以上をもっていると幸せな状態に近づくのだという。
‐幸福の資本論1‐「幸福な人生」を実現するために必要なものとは? | 橘玲×ZAi ONLINE海外投資の歩き方 | ザイオンライン (diamond.jp)
-幸福の資本論2-「幸福のインフラ」は2つ以上あると人生は安定する![橘玲の日々刻々] | 橘玲×ZAi ONLINE海外投資の歩き方 | ザイオンライン (diamond.jp)
毎年、年初に一年の目標を考えるなかで、今年は少しモヤっとしていることがあった。
転勤に帯同し続けてきたこの数年間は一体なんだったんだろう。
実は常にこの問いを自分自身に投げかけてきた。
単なるブランクにしたくないから、子供が寝ている時間を活用して家業に関する国家資格をとった。
社会活動で経験も少しは補えた。
そして社会活動を通じて、人生観といった領域で語り合える仲間もつくれた。
また
育児は仕事の役に立つ~「ワンオペ育児」から「チーム育児」へ~ (光文社新書) | 浜屋 祐子, 中原 淳 | 妊娠・出産・子育て | Kindleストア | Amazon
を読んだり、
主婦から経営者として活躍している身近な先輩や、主婦からの異例のキャリアを築いた女性として注目されている藤﨑忍さんや薄井シンシアさん、諏訪貴子さんの読み物を読んで勇気づけられてきた。
しかし、まだ仕事に復帰はしていないから、自らその証明ができていないことに焦る。
明らかに仕事に関する実務、経験は積めていない。
私にとってのこの数年間は単なるブランクになってしまうのだろうか。
しかし、『幸せの資本論』の考え方に根差すと、
自分の人生は仕事と家庭だけで構成されているわけではないことに改めて気づく。
充足感が得られる日々のために、この3つの資本が大切なのだとしたら、今、まさに社会資本をしっかりと築く時期なのではないか。
会社員時代は、すぐに対処すべきボールが打っても打っても飛んできていた。
そして関係者が沢山いて調整に時間と労力が割かれていた。
成果がすぐに出ないから心身共にすり減り、社会資本に費やす時間も気持ちの余裕も生み出せなかった。
その時期を思い返せば、今は自分に時間も気持ちの余裕もあるし、社会資本に投資ができている。
家族との時間はもちろんのこと、
宗教、難民問題など、日本では意識しにくいことも身近な問題としてとらえさせてくれる現地の友人もできた。
駐在妻生活をどう過ごすか。
未来の幸せに投資をするといった視点で見直すと、
単なる消費や浪費で終わっている時間もある。
実は色々やるべきことはあるのではないか、と思ってしまう。
帰国時にこの駐在妻生活をどのように振り返るのか。
確かに仕事の経験は積めなかった。
けれど、財産は築けた。
と言える状態にできるよう、時間を蔑ろにしないことが今年の目標だ。